

2025年7月撮影
SPECIAL
INTERVIEW
LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン
整然とした美しさと静謐な緑 心に響く風景を創造する。
計画地が位置するエリアは、県立浦和高校や市立浦和高校、常盤小学校や常盤中学校といった歴史ある教育施設が点在し、さらに県立美術館などの文化施設も併存する、いわゆる文教エリアとして知られています。
そのため私自身も、この地域は伝統的な建築物が点在する、格式ある街並みを想像していました。しかし、実際に北浦和駅前に足を踏み入れてみると、格式ばった雰囲気は感じられず、特に現地周辺は緑に囲まれた閑静な場所で、とても暮らしやすく、親しみやすい印象を受けました。
このような環境に触れ、本件では文教地区からイメージされる、整然としながら緑に溢れ、閑静で落ち着いた雰囲気をランドスケープで表現したいと思いデザインしました。

2025年7月撮影
緑の中で織りなす光と影 自然の恵みに包まれた 邸宅へのアプローチ。
ランドスケープのテーマは「文教の香る邸宅」です。
アプローチにおいては緑の空間を体感できるような空間づくりを目指しました。デザインとしては、伝統ある教育機関や文化施設に見られる石積みや門柱をモチーフにし、その空気感や雰囲気を表現しています。
自然石を使った石積みやオブジェのようなベンチ、成形された生垣、そして豊かな緑が、深みのある文化的な雰囲気を醸し出し、落ち着きと知性を感じさせる空間を創り出します。
アプローチの入り口には、ヤマザクラ、ヤマボウシ、カツラという3本の高木の落葉樹で構成した「樹冠のゲート」を設けました。この緑のアーチをくぐると、木陰や木漏れ日、風に揺れる葉音、そして樹木から立ち上る香りや蒸散によって、微細な気温や湿度の変化を感じることができます。
さらに進むと「樹冠のゲート」とは対照的に、開けた空を感じることができる「交流の庭」が広がります。光と影が織りなすドラマチックなシークエンスを意識してデザインしました。
これらの自然要素に包まれることで、心を落ち着けリフレッシュし、気分を新たにすることができると考えています。

敷地配置イメージイラスト

アプローチガーデン完成予想CG
居住者だけが享受できる 四季折々の美しさが描く 「鑑賞の庭」。
アプローチを抜けると、格調高いエントランスが目の前に広がり、その先には特別な空間が待ち受けています。
ここには住まう方だけが享受できる「鑑賞の庭」を設けました。アートのような独創的な樹形の落葉樹が季節ごとに新しい表情を見せ、住まう方に愛着とともに、時折感じるプレミアム感をお届けします。
自然の移ろいが、日常の中に美しい変化をもたらし、心に深く響く場所となることを願っています。

敷地配置イメージイラスト

2025年7月撮影
桜と緑の彩りが奏でる 楽しさ溢れる街の新しい景色。
本計画地の北側には、近隣マンションの桜並木が続いています。桜が大きく育っている様子から、このエリアに住む多くの方々が毎年の開花を楽しみにし、大切にされていることが伺えます。新しく誕生する本物件も、その桜の景観を継承する形で、ソメイヨシノをはじめ、3種類の桜を植栽し、この地に仲間入りする挨拶の気持ちを込めました。
また、街並みに調和するグリーンギャラリーも計画しており、通り沿いには目にも楽しい緑を植栽します。花や葉が可愛らしいものであったり、食べられる実をつけたり、とても良い香りがするなど、観賞性の高い樹木を選んでいます。このことで、お住まいの方々だけでなく、通りかかる人々にも毎年楽しみにしていただけるような、お気に入りの1本を見つけて愛着を持っていただけることを願っています。
image illust


植物が紡ぐ 時間と共に育まれる未来への 美しい物語。
何かを開発するということは、近隣の方々が長年見慣れていた風景を一度壊し、新しいものを創り出すということです。その衝撃は計り知れず、大きなインパクトを与えると思います。そのインパクトを優しく包み込めるのは、命ある植物だと私は考えています。ですので、私はたとえ数十センチであっても、必ず植栽を施すように計画をしております。今回の計画では比較的広めのランドスケープ設計が可能だったため、桜などを配植することができました。
この桜についても、今後このエリアに開発される建物に桜が配植されることで、桜の点が広がり、やがて面となって、20年、30年後には北浦和地区に桜の風景が根づくかもしれません。植物には、街の雰囲気を変える力があると信じています。
本物件では緑を感じられるアプローチや、四季折々に美しく変化する落葉樹を眺められる内庭など、自然を身近に感じられる暮らしを目指して設計しました。植栽する樹木や草花は50種類を超えます。緑は、お住まいになるご家族とともに年月を経て成長することも最大の特徴です。本物件が緑を纏う瀟洒な邸宅へと成長していく過程も、楽しんでいただけることと思います。

2025年7月撮影